2004年からタイに住んでいますが、タイ人と日本人では明らかに考え方も能力も違うように感じていてとても不思議でした。それが、子供が生まれ、タイの教育機関を知るようになって、何となく納得してきたことがあります。前回は教育における格差について書きましたが、今回は具体的な内容を見ていこうと思います。

 

左脳重視・右脳軽視

 音楽

 右脳をはぐくむ音楽ですが、タイの小学校の音楽の教科書はすごいです。小学校一年生の音楽の教科書なのに音符はほとんど出てこないです。かなり高度な楽器の名前や発声方法などのアカデミックな内容がつらつらと書かれています。パット見、日本の中学校の教科書みたいです。学年末テストもあります。我々が経験した様な、カスタネット、ハーモニカ、縦笛、ピアニカ…などの楽器はやらないです。追加料金を払った放課後授業ではありますが…

美術

美術は基礎となる写生なんてほとんどやらないです。お題がでて、自分で考えて描くそうです。因みに今日の娘の美術の宿題は、外出時の服装を描けと。まあそれも楽しそうですが、写生をすっ飛ばしていきなりそれ?という感じがします。

写生は目の前のものをじっくり観察して、頭で論理的に分析して、再構成して、紙上に落とし込む作業。これにより、洞察力と分析力が養われ、それはほかの科目でも非常に必要な能力。ものをじっくり観察する事でいろいろな疑問も出てきます。なんでこれこんな形なの?なんでここにこんな線があるの?とクリティカルな思考が生まれます。これは学びの原点。私が教えた大学生もじっくりモノを見て観察したことが無いので、課題でやらせると、ほぼコピペでした。

美術の教科書もこれまたアカデミックな技法や画具の名前ばかりで日本の中学生レベルの内容。それを憶えて学年末テストです。

 

算数

算数も進むのが早い!“クッキーが10個あります。2個食べました…”みたいな問題はあっという間に終わって直ぐに数式が始まります。ほんと子供を機械か何かと思っているんじゃないかと思うような進め方です。それかもしかして塾へ行っていることが前提なのかな?

 

全国一斉学力テスト

政府が行う全国一斉学力テストの摩訶不思議なんですが、小学校で習わない内容の問題が出るんです。ほんとに不思議で不思議で…タイ政府は何が測りたかったのか。どれだけの生徒が学習塾に行っているかが知りたかったのか?それとも鉛筆転がしの確立が知りたかったのか?中学入試でも小学校の学習範囲外のものが出ます。進学塾へ行っている者が生き残る社会ですね。

 

自力で出来ないプロジェクト

 噂には聞いていましたが、実際娘の学校でもよくあるんです。

幼稚園年長組の学年末の宿題に、オウムの紹介ボードとオウムに関するお話を作るという、文字もろくに書けない幼稚園年長児一人ではなかなか出来ない内容です。学校側の主旨は親子で作業しましょう的なものらしいのですが、日本人的にはどうして子供に出来ない宿題出すの??と思ってしまいます。

今回の宿題、紹介ボードのネタはラオスのお父さんが用意し、タイの私が出力、カット、及びボードへのアレンジを担当し、おばあちゃんと娘とで貼付け作業を行いました。
オウムのお話は、娘が話を日本語で作り、私ががそれを2ページ分のマンガに描き、ラオスのお父さんがタイ語に訳して、私がそのタイ語データをコピーして、出力及び製本して完成。ここれいったい誰の宿題なの?

 

まだまだ続く親のプロジェクト

STEM PROJECTといって毎年あるみたいなんですが、4~5人のグループに分かれて、画期的な発明をして作れというプロジェクト。小学生に??もちろん出来ません!!アイデアだけならできるかもしれませんが、それを実際に作って来いと??

もちろんこれは一大親プロジェクトとなりました。

あるグループの親御さんは家具工場を経営されいて、そこから出るおが屑を再利用し、内装デコレーション用のプレートを作成。その作り方を、ほかのお父さんが家で接着剤の配合割合や、子供でもできる作り方を何回も実験して試行錯誤して見出し、子供たちに作らせたとか。

また、あるグループのお父さんの一人が機械エンジニアで、ラジコンカーを改造し、ラジコン操作でゴミを取ってくれる車を作成。そしてなんとそれが優勝しました~!!

 このプロジェクトの発表会も親総動員で準備。

 一体これはだれのプロジェクト??

だから、大学生になってお金をだして他人にプロジェクトを作らせてもなんの違和感もないんでしょうね。

 

小学生から始まるコピペ

教科書だけでは出来ない課題がでるんです。

例えば、月へ行った探査ロケットの名前と年と順番を調べろとか…これは小学校一年生で出た課題。

そんなダイナミックインフォメーション、家にある図鑑にも載ってない。インターネットで探すも、学術的なウェブサイトでうまく探すことが出来ず、先生に相談したら、ウィキペディアを紹介され、結局よくまとまっているウィキペディアをコピペ。

月への探査ロケットの順番と名前以外に、もっとほかに小学1年生が知らなくてはいけないこといっぱいあるんじゃないのか?

学校も参考文献の注釈の入れ方なんて教えてくれないから、これが正規のリサーチの仕方だと勘違いしている学生が多い。それは大学までも続く。少なくとも、どこから取ってきたかを記す義務がある事を小さい頃から教えてあげないと大学来てからでは、長年の癖が取れにくく大変です。

いろいろありますが…

こちらで大学生と自分の娘のやっている事をみると、なるほどなあと思います。ローマは一日にしてならずといいますが、タイ人も

一日にして成らず…です