これからの建築について

私は今まで建築の世界で仕事をしてきましたが、環境負荷の高いこの業界に疑問を持ちながらやってきました。政府は国民に“夢のマイホーム”をプロパガンダとして進め、住宅の寿命を短くすることで、スクラップアンドビルドを促進し経済を回してきました。

総務省統計局によると、2018年10月1日時点での日本の住宅数は62,407戸と世帯数の54,001世帯を大きく上回っており、これは多くの空き家が発生していることを表します。

少子高齢化で人口は減少の一路をたどる中、もう新しい建物なんていらないんじゃないの?と思い、インテリアの世界を垣間見ましたが、なかなかインテリアもコチョコチョと無駄が多く、会計法での耐用年数も短い為建築よりもサイクルが早い。

今の時代、環境負荷を低く建物を建てるのはとても難しい。技術的には可能だが、よっぽど施主さんに環境意識があり経済的にも余裕が無いと実現しない。効率と経済性を重視する工場建設ではなおさら。今の資本主義経済のまま施主任せでは、地球が住めない星になるのは時間の問題。建築基準法や税法に強制力のある環境保全の項目が無いと無理だと限界を感じています。今まで無視してきた建築に伴う環境負荷をコスト化して見える化し、税金として課税するみたいなものがあれば建築や地球環境は劇的に変わるのではないでしょうか。

例えば、確認申請にはライフサイクルCO2アセスメント結果やCASBEEを添付し、ある基準を満たしていない建築物には建設を許可しないなどの強制措置を設けるなどしてはどうだろうか。ライフサイクルCO2アセスメントは日照計算と同じくらい重要な項目ではないでしょうか。いや、今や機械設備で室内環境は如何様にでもなる時代。むしろ影響が地球規模に大きいライフサイクルCO2アセスメントやCASBEEの方が重要ではないでしょうか。温暖化による想定外の洪水や豪雨によって住宅や命を失うリスクの方が重要ではないでしょうか。

また税法では、短命の新築住宅に多く課税し、長寿命住宅や、地元の自然材料や古材を使用した住宅に特別免税措置を行うなどの措置を整えれば、建築は変われるはず。

今の時代、核家族化が進み、家も一世代一持ち家の時代。このマインドも変えなければならない。二世帯住宅などの共同住宅であれば、耐用年数も長く必要になる。サイズも大きくなるため建設コストが高くつく。ここを政府がサポートしていくべきではないでしょうか。

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私は働く母親。核家族で働くのは相当の根性と家族の理解と環境に恵まれないと両立が難しい。女性の社会進出を促すためにも二世帯住宅や共同住宅は重要なキーとなるでしょう。今からは“夢のマイホーム”から“夢の協働生活”にマインドをシフトしていく必要があると思う。人口も減っていく。建物も集約していくべきではないでしょうか。

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環境破壊の話は私が短大の時にはとても大きな問題であったことを覚えています。その後一斉に社会が環境を無視して経済を重視してきた。アメリカの建築学科でも環境共生型建築をテーマにした先生は1人だけでした。アーカンソーの森の中に温泉浴場をデザインするというプロジェクトで、計画場所にある木を出来るだけ残そうとした学生に、ある先生が“木なんて切ってしまえ!”と言っていた事を今でも覚えています。そういう時代でした。

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近年地球温暖化による異常気象が森林火災が地球上の各地で起き、町が破壊され多くの命が奪われています。もともと動物と共存していたウィルスも環境破壊で人間に近くなり、COVID-19の様なパンデミックを起こしています。これらによる経済的マイナスは、今まで払うべきして無視してきた環境破壊コストと比べてどうなんでしょうか。

このような状況でこれからも環境問題から目をそらして建物作り続けていんでしょうか。
そろそろ逃げてないで直視し、アクションを起こさなくてはいけない時が来ているのではないかと思います。